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日々の徒然

これぞエンタメ映画「首」感想。

北野武は、人生を真剣にふざけている。

「アウトレイジ」シリーズでもそうだけど、大の大人が、人生なんて儚いものなのに、いや、儚いからこそかもしれないが、自己利益を追求して、必死になってるところっておかしいよね、という、なんかそういうヘラヘラした感じで、斜に構えるでもなく、バカにするでもなく、「笑っちゃうよな」っていうあれの感じ。北野武監督はそれを直接表現せずどこまで伝えるかに長けている。

たけし演じる秀吉は、とことん結果にしか興味がない。命が軽い。百姓だからというのはありそうだ。そして自分の命も軽いからこそ成し遂げる。秀吉は家康と違って、戦の大将席に影武者だのを座らせず、自分で楽しむために座る。そして結構近い家臣をすぐに突撃させようとする。リスク感度がバグってる。そういう人が1番うまくいくんだよなともなんとも言ってないが。最後の「光秀が死んだことが分かれば俺は首になんか興味ねーんだよ!」と言って光秀の首を蹴り飛ばすというところにも、この時代の手柄の象徴である首に興味を示さず、金を道具としてバラまき、天下取ったらおもれーだろうなくらいの感覚でやってるのがあらわれている。

この時代の何度も色んな人が描いた三大武将を人間としてこう描くかというのが面白い。あと、めちゃめちゃ男同士で盛ってるやんってのも。他の人のレビューで見て納得したけど、これは壮大なコントだと思うと腑に落ちる。普通の映画じゃあり得ない感じのアドリブが随所にあったし。

あと、伊集院さんがラジオで感想めいたものを語ってたけど、かなり近い感覚だなと思った。すごい映画と言い切れないが、エンタメとして面白いし、まだ北野武監督を見ていたいなという感覚。

思いの外、公式のインタビューがしっかりしててよかった。