Site cover image

Site icon imageちちもブログ

日々の徒然

夫婦愛の一つの在り方を「アリー/ スター誕生」から感じた。

最初はレディーガガの実話ベースのドキュメンタリーかな?と思ってたけど違った。フィクションらしい。後述するが、要素としてレディーガガの人生にかぶる部分もあるんじゃないかなーとか勝手に想像しながら観た。

この映画では、夫婦愛というものの一つのあり方を提示していたと思う。愛している人の人生の可能性を最大化させてあげたい、という愛の形である。その裏返しとして、パートナーのお荷物になるということが、別れに値するほどの痛みであるということも言っている。もちろん、自死というものが愛なのか、という意見はあると思っている。禁じ手を使うがゆえに表現できるものもあったのかもしれない。また、劇中では、お互い、パートナーになってほしい姿というものを持っていて、自分の欲求の写し鏡としてのそれを、相手に対する引け目から言うことができないという状態であったのも状況を悪化させた。

ジャックは才能への嫉妬と自己嫌悪の中で、理想のアリーを追い求めてしまう。アリーは愛情が強すぎて盲目になっていることを多少自覚しながら、でも今の自分はジャックのおかげ、ジャックのストレスの原因は自分だという意識を持っている。お互いがお互い、相手が自己破滅から抜け出せないことに対して無力感を覚えていることをわかっていて、でも理想を求めてしまうというのは小さいレベルではどの夫婦にもあるのではないだろうか。プレッシャーをかけたくないという気持ちと、自分の理想を押し付けてしまう気持ち、相手含めての自分の人生であると思いたいという気持ちの葛藤は、解消が難しい。

自分の理想と相手の理想が一致し、相手に存在として必要とされる。ただ生きているだけでそれが活力になるようなパートナー関係は何にも代えがたい。それこそジャックやアリーのような成功者であっても解決できない、人生の大きな目的になりうる、生きる意味になるんだろうなと思った。レディーガガが演じることによって、彼女のリアルな人生に重なるところもあったんではないだろうかと感じさせる味わいもこの映画の魅力だった。「ボヘミアンラプソディ」といい、年末に良いものを観れた。

※ 蛇足

まああと、主題歌はキャッチーで良い。個人的には最後はこの主題歌で締めて欲しかった。他の曲も結構レディーガガが手がけているものも多数あって、こんなによく曲を生み出せるなぁと感心する。

サントラも異例の大ヒットしてるんだね。レディーガガの新曲としての「Shallow」なわけか。

2008年にデビュー・アルバム『ザ・フェイム』(日本発売は2009年)を発表したレディー・ガガ。ガガのアルバムは、過去4作品が同チャート1位を獲得しており、今回のサントラが5作品目となった。これまでレディー・ガガとテイラー・スウィフトが、「2010年代に発表したアルバムで最も全米1位を獲得した女性アーティスト」として、それぞれ4枚のアルバムで同率1位だったが、今回の「アリー」サントラの1位をもって、ガガがテイラーを抜き、女性アーティストとして1位に君臨!
更に、ガガは今回のサントラで初めて全米アルバム・チャートで3週連続1位を獲得。2週以上全米アルバム・チャートで1位に輝くことは、ガガとしてはこのサントラが初となる。つまり実質、“レディー・ガガの作品で最もアメリカでヒットしているアルバム”になった。

そしてブラッドリー・クーパーは主演かつ初の監督作品なのね。「アメリカン・スナイパー」「ウォードッグス」にも制作として関わっていたのは知らなかった。

エンドロール最後に出てくる「故 エリザベス・ケンプに捧ぐ」というのはブラッドリー・クーパーの演技指導してくれた女優さんで2017年に他界されたらしい。