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日々の徒然

ドローン物流の可能性。バイク便の代替サービスとなるか?

2022年にドローンの規制が緩和されるというニュースを見て、周辺領域を調査してみた。

  • 日本の規制状況と緩和内容
  • ドローン企業の取り組み
  • 注目企業「Zipline」
  • ドローン物流の課題
  • バイク便ならぬドローン便の可能性

日本の規制状況と緩和内容

5分どころか30秒で分かるこの図が素晴らしい。

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現状を簡単にまとめると、

  • どこであっても目視可能な状態での飛行が必須。
  • 国土交通省の許可なく飛行できるのは、民家がない山奥など。

という状況。

5分でわかる!ドローン規制の全体像

これが、

  • 民家がない山奥などであれば、目視確認は不要とする。
  • 荷物の落下は補助者必要だったが、条件揃えばOK。

に見直された。

ドローン物流、規制緩和で後押し…補助者なく荷物投下・山間部で高高度飛行

ドローン周りは、政府主導でロードマップを敷いていて、緩和の方向へ向けて歩を進めている。

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空の産業革命に向けたロードマップ2020 我が国の社会的課題の解決に貢献するドローンの実現 2020年7月17日

直近は、2022年の「空の産業革命 レベル4解禁」が大きなターニングポイントになりそうだ。

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ドローンによる有人地帯での目視外飛行(レベル4) の実現に向けて

しかし、当然のことながら、有人地帯への落下リスクというのが最大の論点であり、「機体認証+ライセンス操縦者+経路の個別申請で許可」という条件付きでの緩和となる。

ドローンは第三者の上空を飛行できるのか?そこに法律やモラル・安全性はあるのか?

ドローン企業の取り組み

具体的にサービスインのイメージが分かるレベルで推進出来ていそうなものをピックアップ。

ANA

ANAは2022年度の「空の産業革命 レベル4解禁」に乗っかる形でドローン配送の実証実験を行う。

医薬品及び日用品等のドローン配送事業化に向けた業務提携を締結 ~2022年度から日本全国の離島や山間地域におけるドローン物流サービスを展開していきます~

2020年に福岡市で行っていた実証実験で手応えを掴んだ形か。

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この時運んでいたのも医薬品。離島などの交通機関不整備地域に単価の高い医薬品を、インフラ整備も不要なドローンで運ぶというのはGood。フェリーを何艘も用意してというのは現実的ではないし。ただ、医薬品って割と備蓄できるだろうし、稼働頻度が気になるところではある。

ANAホールディングス、アイン薬局、セブン‐イレブンが連携し、2機種のドローンでの食品・日用品、処方箋医薬品の即時配送サービス実証を実施 ~福岡市西区小戸から能古島の3地点へ顧客ニーズに合わせて配送~

楽天

楽天は、横須賀から猿島にバーベキューの材料運ぶというエンタメ要素満載のドローン配送実験。

楽天と西友、国内初となる離島の一般利用者への ドローン商用配送サービスを今夏提供

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【写真レポート】東京湾「猿島」ビーチで注文した缶ビールが海を渡って楽天ドローンで届く

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2016年にはゴルフ場で、クラブハウスからの飲食配送で実験。

ドローン物流サービスの実例と 今後の展望

Antwork

都市でのドローン物流をやっている会社ではAntworkという中国企業が、KFCやスタバのデリバリーを行っているらしいが情報が出てこない。

続・ドローン産業応用のすべて ―進化する自律飛行が変える未来―, 第 2 巻

KFC burgers delivered by Antwork robots for the first time

Zipline

Crunchbaseで「Drones」でフィルタしてみた。CBランク(Crunchbase独自の格付け)トップはZiplineというドローンで血液を運ぶ会社。トップ10くらいを眺めると、Ziplineの他は、CBランク5位のVolocopter(Ehangライクなドローンタクシーサービス)を除いて、ほとんどがドローン機体を生産する会社か、ドローンの制御ソフトを作っている会社な中で、サービスレイヤーのZiplineがトップ評価されているのが注目ポイントである。

Crunchbase - Drones

※ EhangとかVolocopterっていまはヘリコプターチャーター便で賄われている需要だとは思うので、自動化が進んでいくと、タクシーに対してのUberみたいな状況になるのかな。とはいえ、価格が相当下がらないと一般層に広がっていくこともないような気がする。

Ziplineの評価額は約3000億円と目される。

Drone Delivery Startup Zipline Gets $250M For Instant Logistics

Ziplineは、

  • 大雨などで容易に道路が不通になってしまう、ルワンダというインフラ未整備の地で、
  • 規制がボトルネックになりがちなドローン物流を、政府の協力もうまく引き出しつつ、
  • 緊急度が高く、高単価で、貯蔵性が悪い、血液という商材を、運ぶサービスを展開。

と、ドローンで運ぶ理由がことごとく見い出せる分野で勝負しているところが他のドローンサービス企業との違いかと思う。

Ziplineの飛翔──ドローンの未来はアフリカからはじまる

医療用血液を運ぶ「救命ドローン」、米国に上陸へ──Ziplineが設けた新たな試験場に潜入

ドローンで病院に“血液”届ける救命ベンチャー「Zipline」--日本からアフリカへ現地取材

ここから、ドローン物流は、

  • 一度に少量しか運べないため、高単価商材が良い。
  • インフラが整備されていれば、トラックで選ばれてしまう。
  • 貯蔵できるものであれば、まとめて運びたいため、ドローンは不適。

という点をクリアしている必要があることが分かる。

ドローン物流の課題

ドローン物流を考えるときに、

  • コストパフォーマンスが悪い (物流用ドローンは生産台数が少ないため機体が高い割に、ペイロードが限定される。)
  • 法規制が厳しい (第三者上空飛行、プライバシー保護などの法整備。)
  • オペレーションが難しい (まあここは知らんがなという気はするが。)

あたりがボトルネックになる模様。

我々のドローン配送ノウハウを一挙大公開します!

トラック輸送の代替を考えると、どうしても機体性能がネックになってくる。

日本の物流界の救世主となるか?「ドローン物流実用化」のための4つの課題

通常、ドローンの飛行時間は何も乗せなくても40分程度であり、これが物流となると更に短くなることが予想される。

ドローンの飛行時間を短くしてしまいがちな状況とは?ただ長ければ良いわけではない理由も徹底解説!

そこで、モーターとガソリンエンジンをハイブリッドで組み合わせ、ペイロードと飛行時間の問題をクリアしようとしている。

【sample】海外ドローン市場注目企業の最新動向2020

例えば、農薬散布などは、すでにガソリンエンジンのラジコンヘリが主流だったりする。

まず商用利用として有用なのは、電気モーターで駆動し、クアッドコプターを備えた、一般的なイメージのドローンではない可能性が高い。

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現状、農薬散布のラジコンヘリは許可が必要となっている。(上記画像は YF390AX )

無人航空機による農薬等の空中散布に関する情報

斜め上でいうと、燃料電池という未来もある。

燃料電池版ドローンは業務用ラジコン・ヘリの強力なライバルとなる

バイク便ならぬドローン便の可能性

政府がここまでドローンの規制を緩和しているのはおそらく物流業界の人手不足や、過酷な労働環境をどうにかできる可能性を感じているからだろう。

確かに、夜間の山間部などにおいて、無人地域限定で、ペイロードの大きな物流をドローンが担い、都市部は日中ドライバーが運ぶというハイブリッド型の物流は可能性を感じる。

しかし、都市部において、第三者上空を大きな荷物を抱えたドローンが飛び回る世界観は、ひとまず想像し難い。

スマホがだいたい300gくらいだが、それでも30m上空から落ちてきて直撃したら大怪我になる。

まあ、現行の航空法でもドローン機体が200g未満であれば対象外であることを考えると、ドローン物流初期段階において、200g未満のペイロードとなるのが常識的だろう。

そうなると、運べるものは限られ、単価が取れるということを考えると、バイク便で送付している検体や医薬品などが有望かと考えた。(近年書類需要はメールの発達によって減少。バイク便市場は2020年度で250億円、需要自体は増加。)

バイク便で渋谷から品川(大体10km)まで運ぶと、集荷までは40分以内、配達時間はそれから35~45分で、2時間以内には届く想定で、3,000円ほど。

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一方、ドローン便の皮算用をしてみると、

  • 機体が1年償却で1体100万円。1年250営業日として、1日あたり4,000円の減価償却費。
  • 通信費が月額5万円、1営業日あたり、2,400円かかる。
  • 法定速度60kmを守って、渋谷-品川間を10分で移動可能。発着ポイントへの移動で更に20分。1時間に2便とする。
  • バッテリー交換も考えて、1日8時間稼働として、10kmレベルなら1日16便は受注可能。
  • バイク便だと2時間以内3,000円のところを、30分以内確約 2,000円として、1日32,000円の売上。
  • 発着ポイントへの手数料支払を1便200円(売上の10%)としてみる。機体の減価償却費と通信費を引いた粗利は、1機体1日22,400円の利益。
  • 並行して10機体ほど稼働させて、250営業日稼働で、年間5,600万円の粗利。5人で展開したら人件費引いてトントンくらいの事業。

と、かなり粗い計算だが、バイク便に対して価格優位性を発揮しながら、スモールビジネスが展開できそうだ。

発着ポイントまで持っていく手間が悩ましいが、商業施設(特にコンビニ)や駐車場と協力して「近くの発着ポイントまでお荷物をお持ちください」として、持ち込み割引などで相殺。

バイク便で運びたいものとなると、緊急度高いだろうし、価格優位性よりも、輸送の安全性/確実性の勝負となりそうで、無人ドローン輸送は若干分が悪いかもしれないな。

それ以外の可能性

今の所、ドローン操縦者は訓練が十分にされており認可が必要となっている。UBER EATS配達員みたいなノリで操縦者バイトが増えていくとしたら、資格取得のための教育関連分野の盛り上がりはあるかもしれない。

もう一つ、現状、飛行経路の交通整理は、航空会社が共通で整備しているところだと思うが(たまに大きな紙に職人ぽい人がライン引いてるみたいなやつをテレビで見たことあったけど。運行管理者。)、これがもう少し民主化して、低空で近距離でとなると、空のGoogle Mapみたいなものが必要になってくる可能性もあるなと思った。Googleがやるのかな。

飛行機の経路はどうやって決まる?【地上のお仕事図鑑】