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Site icon imageちちもブログ

日々の徒然

Fortniteがここまで人気になって続いている理由は「ボット」にあるのではないかと思った。

ここ半年くらいFortniteにハマっている。1日1時間以上は必ずプレイしていて、休日ともなると、半日くらい時間を溶かしてしまっている。最初はやり方が分からず、島を歩き回っているだけだったが(それでも楽しかったが)、Fortnite公式YouTubeだったかでルールや操作を覚えてからは、YouTubeで新しい知識を身に着けて、実践で活かしてと、どんどん楽しいループにはまり込んでしまった。

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FortniteのMAU(月間アクティブユーザー数)は、2020年6月の段階で約8,000万人。

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Number of monthly active users of Fortnite worldwide as of June 2020

とある調査によると、PCゲームの中でのプレイ人口は9位らしい。(1位はマインクラフト、最近話題のAmong Usは11位)

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Most Popular PC Games | Global

また、ピーク時には、1,300万人の同時接続を記録。2019年は700万人だったが、1年でほぼ2倍のユーザー成長を遂げている。

現在Epic Games StoreのPCユーザー数は、16000万人以上にも上っています。デイリーアクティブユーザー数は192%上昇して3,130万人のアクティブプレイヤーとなり、ピーク時のCCU(同時利用者)は同時プレイヤー数が1,300万人に達しました(2019年の700万人から上昇)。12月の月間アクティブユーザー数は、2019年の3,200万人から5,600万人に増加しました。

新年明けましておめでとうございます!2021年へようこそ!

そしてFortniteがここまで人気になった/ヒットした理由は一つではないだろうし、ゲーム性や、ゲームのクオリティやマーケティングの観点から語り尽くされていると思うが、今回はボットに注目してみた。特にゲームが2017年にリリースされており、今年で運営4年目となるにも関わらず、プレイ人口がどんどん増え続けているという点も含めて、ボットがかなり大きな役割を果たしていると考えた。

Fortniteの基本的なゲームルールは、

・100人のプレイヤーが同時に接続してバトルロワイヤルする。

・プレイヤーは、腕前のレベルによってマッチングされている。

というものであり、人間のプレイヤー同士が戦う前提となっているゲームである。だが一部、プレイヤーに紛れてボット(コンピューター)が現れることがある。このボットは、いわゆるコンソールゲームのコンピューターっぽい単調な動きをするのではなく、島で武器や物資を能動的に拾い集め、プレイヤーを見つけ次第に攻撃をしたり、攻撃してきたプレイヤーに反撃をしたりする。プレイ時間が長いであろうゲーム実況者のYoutubeを見ていても「あれ、多分ボットだったと思うな?」くらいの挙動のクオリティの高さである。

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マッチメイキング、ボット、操作、コンバインの更新

MAUは8,000万人とは言えども、同時に100人を、しかもそれなりに腕前の近い人達を引き合わせようとするとどうしても待ち時間が長くなる。待ち時間を減少させるにはプレイ人口自体を大きくするしかない。しかしそこにも限界がある。そこでボットを放り込むことによって、待ち時間を極限まで減らせるため、マッチング系のゲームにありがちな、長時間マッチングしない問題が解消される。遊びたいときにすぐに遊べるようになる。これはわかりやすいメリットである。

次に、バトルロイヤルは、誰かが勝てば、誰かが負けるため、「敵を倒した!嬉しい!」と同時に「敵に倒された!悔しい!」が起き、ゲーム全体での満足度はゼロサムであるという特徴があった。ところが、ボットの登場によって、ゼロサムではなく、「敵を倒した!嬉しい!」だけを生み出すことに成功している。これは、明らかにボットであるとわかりにくいほどに作り込まれたボットであるからこそ実現できる側面もある。(「敵倒した!でもボットか。」だと意味がない。)

また、ボットがいることによって、ゲームレベルのインフレを防いでいる。運営年数の長いゲームは、古株のプレイヤーの割合が多くなり、後発初心者プレイヤーが成功体験を得にくくなる。(おそらくスプラトゥーンがいい例なのだが、スプラトゥーンはスプラトゥーンでうまいことやっているのでそれはまた別で。)

後発初心者プレイヤーの新規参入がないと、基本的にプレイ人口が固定化された後に縮小していき、運営会社も売上が下がり、コンテンツ更新頻度は減り、煮詰められた少数のプレイヤー間で変化のないルールの中でひたすら腕前の磨き込みを行うという負のスパイラルに陥る事が多い。ボットは後発初心者プレイヤーでもある程度達成感を味わうことを可能にし、プレイヤーの参加と離脱の循環を途切れさせないという役割をも担っている。(スキルベースマッチングも相当重要な役割を担っているとは思うが、ボットがいなければそもそもマッチングを成立させられない可能性がある。)

これは推測ではあるが、このボットは、直近のプレイにおいて成功体験(撃破数)が少ないプレイヤーの近くに配置されているのではないかと思っている。Fortniteのゲーム運営のKPIが、プレイヤーの直近の数試合の撃破数でもおかしくないとも思う。そこをうまいことコントロールするためにボットを投げ込んでいたりしたら、負けが込んでいるプレイヤーがゲームを離脱するきっかけがなくなるわけなので、ゲームシステムそのものに飽きない限りは離脱を防げる。究極、運営側が、おもてなしとして、特定プレイヤーが大勝ちできるゲームを作ってしまえばいいのである。(カジノみたいなもんだな。)

と、ここまでボットがあればすべて解決!というような書きっぷりだったが、これらのすべては、ボットの精度が相当高い(Youtuberでも確信を持てないほどの)レベルで作り込まれているから実現できていることであり、ボットがコアの体験を作り出すことにどう絡んでいるかを考え抜いているからこそできているものではないかと思った。このボットにAI技術がどのくらい使われているかはわからないが、世の中のAI活用(もといテクノロジー活用)は、このくらいサービスのコア体験に貢献して初めて「テクノロジーは手段です」と正面切って言えるよなと思ったのであった。