Site cover image

Site icon imageちちもブログ

日々の徒然

産業革命と経済発展のその先。

SVFの決算説明か何かで孫さんが、”人間の発展は移動とともにあったと言っても良い””AIの本質は予測にある”と言っていた。やはり次のパラダイムシフトを意識しており、パラダイムシフトを起こす上で(パラダイムシフトが起きた場合に)、どこに張っていれば効率良く実権を握れるかを考えた結果、ARMやモネテクノロジーズという打ち手が見出されたのだなと感嘆した記憶があり、経済発展が大きくなされる要因について考えてみることにした。

経済=ビジネスというのは、人間の欲求を満たしに行くことで成長する。人々は、衣食住にはじまり、自己実現や自己承認、楽しいことや充実感のあることに対してお金を払う。生命維持に必要なものが満たされた後は、時間を生み出し、生み出された時間をより気持ちよく過ごすことに重きがおかれるようになる。

ビジネスを生み出す=産業は、この世に存在しているエネルギー源(≒労働)を活用し、商品やサービスなどのアウトプットに変換することで成立している。商品やサービスは人間(消費者)に快を提供する。エネルギーからアウトプットへの変換効率を飛躍的に向上させる技術創出を産業革命と呼ぶ。投下するエネルギーに対して、生み出される快がどういった方法でどの程度増えるのかを考えていくことで、今後の発展の方向性を探ることができるように思う。

これまでの産業革命で起きたことにはここでは特に詳しく触れない。

人間がアウトプットを生み出すために労働しなければならない量が減り(労働の代替)、人間ができないことができるようになる(人間の能力の超越)という流れが産業革命にあると思う。アウトプットを生み出す速度、量、正確性、の向上に始まり、人間では創出不可能なアウトプット(超巨大ビルやナノレベルのチップ)を生み出すにまで至る。19世紀の産業革命では肉体労働にイノベーションが起き、21世紀には知的労働にイノベーションが起きている。このままいけば、人間が何かを思索することなく、欲しいものが自動的に生み出されるという世界に突入するだろう。

そうなった時に次に問題になるのは消費する側になるのかもしれない。

消費には資本(お金)が必要である。また、人間の肉体の限界を超えて消費することも出来ない。作ったものを運ぶ必要もある。限界を超えて人間に快を与えようとすると、脳が壊れてしまうので、脳を改造する必要が出てくるかもしれない。物流を極限まで早めるためにテレポート技術が開発されるだろう。消費する人間を増やすために、砂漠に住むための技術、地底国家、海上への進出なども為されるはずだ。消費を増やすだけなら、AIにお金を持たせて、AI同士で商行為を高速で行わせればいい。

直近の制約条件は間違いなく資本にあると思う。お金がなければ使えない。お金が偏りすぎているのである。1人が1000億円持つより、1000人が1億円ずつ持ったほうが総消費は増える。これが構造的に解決できることがまず第一だと思う。格差が広がりやすい現代社会の構造は、1人が1000億円を持ちやすいので、消費側ですぐに限界が来る。資本の偏りを解消する格差解消革命が起きなければならないと思う。

ここまで見てきたように、産業革命によって快の創出は自動化され、消費が加速する未来は想像可能である。しかし、だから何だというのだろう。世界の経済の規模が大きくなって、結局何を気にしているかといえば、一人一人の人間が、豊かになっているかということである。脳を改造して快を無限に吸収する大富豪や、AI同士の高速取引によってGDPが天文学的に上がっていったとして、それは何を意味しているのだろうか。そういったマクロな状況を表現する数字に意味が見出せなくなる時代はすぐそこにきているような気がしている。個々の人間の幸せを測定し、それをドライブすることが、諸般の革命に期待することであって、規模を追求してもそこには何もないように思うがどうだろうか。